『小学生でもわかる世界史』とは

世界史の勉強、人物名と年号の多さに心が折れてしまった経験はありませんか。そんな人たちの間で「IQ3くらいの世界史本」という、ちょっと変わった呼ばれ方とともにSNSで話題になった本があります。それが、ぴよぴーよ速報さんの『小学生でもわかる世界史』です。
登録者90万人超のYouTubeチャンネルを書籍化した一冊で、発売後は10万部を突破するヒットになりました。この記事では、本書がどんな本で、どんな人に向いているのかを紹介します。
総再生数1億5000万回を超えとなっており、すでに大きな支持を集めていたチャンネルの「本気の書籍化」だったことがわかります。
本書の内容・構成
全5章、地域・テーマ別の構成

本書は物語ではなく、YouTube動画シリーズを書籍として再編集した歴史解説書です。構成は、ヨーロッパ編、中東編、インド編、中国編、そして「ヤバイ国列伝」(モンゴル帝国やイギリス帝国など、大国の興亡を扱う章)など、地域・テーマ別の全5章で成り立っています。ひとつの国・時代を順番に追うのではなく、世界史を地域ごとに大きく区切って俯瞰できる作りになっているのが特徴です。
■ 第1章:ヨーロッパ編(紀元前750年〜1991年ごろ)
・古代ギリシャ
・古代ローマ
・ローマ帝国崩壊後
・神聖ローマ帝国の時代
・フランス革命ころの時代
・第一次世界大戦
・第二次世界大戦
■ 第2章:中東編(紀元前3200年ごろ〜現在)
・古代メソポタミア
・イスラム帝国
・中東戦争
■ 第3章:インド編(紀元前2600年〜1950年ごろ)
・インドの歴史
■ 第4章:中国編(紀元前1000年〜現在)
・秦(しん)以前
・項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)
・漢(かん)
・三国志
・三国志の後の時代
・隋(ずい)と唐(とう)
・宋(そう)
・元(げん)
・明(みん)
・清(しん)
・中華民国
・中華人民共和国
■ 第5章:ヤバイ国列伝(1200年〜現在)
・モンゴル帝国
・イギリス帝国
・ソビエト連邦
・アメリカ合衆国
・大日本帝国
「わかりやすさ」最優先で作られた本

出版社の紹介文には、本書についてこんな一文があります。
「わかりやすさを求めたあまり、詳しさと丁寧さを犠牲にした暴書、歴史は脳ではなく、骨肉で味わえ。」
「詳しさと丁寧さを犠牲にした」と出版社自らが言い切ってしまうところが、この本らしいところです。歴史上の人物に「ボコすぞ」といった現代的な口語・俗語をしゃべらせる演出で、固有名詞や年号の暗記に頼らずに出来事や人物関係を記憶に残す工夫がされています。書籍化にあたっては、動画にはないオリジナルの補足解説やトリビア的な注釈も加えられているとのことです。
合計1000点を超える、フルカラー地図・イラスト・吹き出し

ページをめくるとまず目を引くのが、全ページフルカラーで掲載された1000点以上の地図やイラスト、人物の吹き出しです。文字だけでは掴みにくい地理関係や人物同士のつながりも、図版を見ながら追えるようになっています。
読みどころ・本書ならではのテーマ

本書の軸になっているのは、「細部の暗記よりも、まず全体の流れをつかむ」という発想です。ヨーロッパ、中東、インド、中国、そして大国の興亡という区切りで世界史を整理し、YouTube動画的なテンポとノリを紙面でも再現しながら、現代的な言い回しのセリフで出来事や人物関係を記憶に残そうとしています。歴史が苦手・退屈だと感じてきた子どもから、受験生、学び直したい社会人まで、間口の広さを意識した作りになっているのが本書ならではのテーマだと言えるでしょう。
発売後の反響・読者の声

本書は2024年8月13日時点で、発行部数10万部を突破したと朝日新聞出版から発表されています。
話題化のきっかけの一つが、2024年7月12日にX(旧Twitter)に投稿された「IQ3くらいの世界史本」という一言でした。この表現がSNS上で拡散し、同年8月の10万部突破プレスリリースでも出版社自らが見出しに採用するほどの反響を呼びました。
出版社が紹介する読者コメントには、「マンガみたいな面白さで、世界史を好きになれる」「用語や年号を覚えなくていいから、頭にすっきり入る」「はじめて、本を一冊読み切れた」といった声があります。もっとも、これらは出版社が選んで掲載したコメントなので、独立した第三者評価というより、本書の狙いがどう読者に届いているかの一例として捉えるとよさそうです。
読者レビューサイトの数字を見てみると、読書メーターでは感想・レビュー129件、評価63%(登録769件)、honto電子書籍ストアでは平均評価4.2/5(レビュー49件)となっています。「マンガのように読める」「現代的な口語表現が面白い」という好意的な声が多い一方、「広く浅く」「詳細さには欠ける」という指摘や、単純化しすぎているのではという懸念の声も一部にはあるようです。
どんな人におすすめ?

出版社自身が、受験勉強にも社会人の学び直しにも対応できる入門書と位置づけています。「世界史のとっかかりが欲しい」「何から手をつければいいかわからない」という人には、うってつけの一冊です。
一方で、「詳しさと丁寧さを犠牲にした」と公式にも明言されている通り、大学受験などで精緻な年号・用語の知識まで求める人には、この一冊だけでは物足りない場面も出てくるはずです。そういう人は、本書を世界史全体の地図として使いながら、詳しい参考書と併用するのがよさそうです。
書誌情報・著者について
基本データ
- 書名: 小学生でもわかる世界史
- 著者: ぴよぴーよ速報
- 出版社: 朝日新聞出版
- 発売日: 2023年12月20日
- 定価: 1,760円(本体1,600円+税)
- 判型・ページ数: A5判、368ページ、フルカラー
- 電子版: Kindle、honto、BOOKWALKERなど各種電子書店で配信あり
368ページフルカラーというのは、この手の入門書としてはかなりのボリュームです。
著者「ぴよぴーよ速報」はどんな人物か

著者のぴよぴーよ速報さんは、2018年ごろから活動している歴史・時事解説系のYouTuberです。本名や素顔は公開されておらず、謎に包まれた存在ですが、加工した声によるコント形式の解説と、あえて語彙を絞ったわかりやすい説明で人気を集めてきました。独裁者や革命家、中国の思想家、世界大戦といった人類史のトピックを扱ってきたチャンネルです。
集英社オンラインの「池上彰よりわかりやすい!?」と題した記事では、登録者10万人以上の人気歴史系YouTuberの一人として紹介されたこともあります。簡潔な図解と「謎のひよこキャラクター」、意図的に語彙を制限した解説スタイルが持ち味だそうです。
『小学生でもわかる世界史』は、そんなぴよぴーよ速報さんにとって初めての書籍化作品です。
読んでみての感想
本書を手に取ってみての一番の感想は「こんな歴史本読んだことがない!」でした。地図や人物画像に吹き出しが付いていて、『ボコすぞ』とか、『戦争してえよおお』とか、けっこう過激な言葉が使われていて、最初は驚きました。
しかし、地図やイラスト、写真がたくさん使われていて、文章も短く区切られており、重要な文章・単語についてはページの下部に説明文が載っているので、都度調べる手間が省け、ストレスなく読むことができました。「IQ3くらいの世界史本」というキャッチフレーズは全くそのとおりでした。
海外旅行前に軽く読み、旅行先の文化や歴史を学んでいくのもアリだと思います。
まとめ|『小学生でもわかる世界史』は世界史入門におすすめ

『小学生でもわかる世界史』は、YouTubeで積み重ねてきた「わかりやすさ」への工夫を、1000点超の図版とともに一冊にまとめた入門書です。「IQ3くらいの世界史本」と言われるほど気負わずに読める一方、発売後10万部を突破するだけの手応えも示されています。世界史に苦手意識がある人ほど、まずはこの一冊を手に取って、「骨肉で味わえ」という言葉のとおり、歴史を全身で感じてみてはいかがでしょうか。
※ 本記事の内容は2026年10月1日時点の情報です。